誰も書かない個人情報保護法の疑問点7

Q7 23条の「個人データ」とは?

A 個人データはデータベースからプリントアウトしたものも個人データに該当するとされている(園部、藤原等)。この見解によれば、およそパソコンを用いて文書を作成する限り、OSの備える検索機能によって文書ファイルの中身の文字から検索できてしまうから、個人情報データベースを構成する個人情報として「個人データ」に該当し、それをプリントアウトした紙を交付すれば第三者提供になるという。
 しかし、筆者は、それは行き過ぎた解釈であると考える。個人情報全般を23条の規制の対象とせず、個人データに限定したのは、生の個人情報ではなく、それをデータ化したものを第三者に提供することは、個人情報そのものを第三者提供するよりも情報流出の危険が高められてしまうと考えられるからである。しかし、プリントアウトした紙に個人情報が1件だけ記載されている場合のように元のデータベースの外形を失っている場合には、もはやその紙自体を個人データと称することは困難である。他方で、当該文書ファイルを添付して電子メールで送信する場合には、受信者のパソコンにおいて当該ファイルは検索機能によって個人情報の検索が容易になっているので、「個人データ」の提供を受けたと言えるであろう。

23条該当性について、送信者にとって「個人データ」であればいいのか、受信者にとって「個人データ」であればいいのか、という問題があるが、本人同意を要求することによって情報漏洩の危険についての予測可能性を与えるという趣旨から、送信時において、受信者にとって「個人データ」であることが予定されていれば23条の本人同意が要求されると考えるべきである。