公益通報者保護法-時的適用範囲

公益通報者保護法の時的保護範囲

<現在において「通報対象事実」に該当する場合>
Q 通報時には法の「通報対象事実」に該当する事実で、本法施行日前になされたものについて通報したときは、通報は本法の保護の対象になるか。

A 保護の対象となる。法2条3項によれば、「別表に掲げる(法律)…に規定する罪の犯罪行為の事実」等であれば「通報対象事実」であり、当該事実がなされた時点を問わない。

Q 対象法律に基づく「通報対象事実」を通報したが、行為当時の法では対象法律に指定されていなかった場合、通報は本法の保護の対象になるか。

A 保護の対象となる。法2条3項によれば、「別表に掲げる(法律)…に規定する罪の犯罪行為の事実」等であれば「通報対象事実」であり、当該事実がなされた時点を問わない。

Q 対象法律に基づく「通報対象事実」が行為当時の当該法律では犯罪とされていなかった場合、通報は本法の保護の対象となるか。

A 保護の対象となる。本法は、犯罪者処罰が目的ではなく、公益通報時点での価値観に照らして法令遵守を図るものであるから、申告に基づいて是正を図ったり再発防止策をとったりすることができる者に対して、法所定の要件に基づく通報をしている限り、通報者は保護されるべきである。したがって、行為当時犯罪でなかった行為についての通報でも、通報者は保護の対象となる。本法は犯罪者を処罰する法律ではないから、遡及処罰の禁止の原則は及ばない。ただし、警察への通報は保護されない可能性がある(「権限を有する行政機関」に該当しない可能性がある)。

<通報の時点では「通報対象事実」ではない場合>
Q 施行令の改正により、法の対象法律から外れた法律に基づく「通報対象事実」に該当する事実が対象法律である期間中になされたものについて、通報は本法の保護の対象になるか。

A 保護の対象とならない。通報時において「通報対象事実」にならない以上、本法の適用はない。法の対象法律から外れたということは、通報を本法によっては保護しない趣旨である。

Q 法律の改廃により、現在の対象法律では「通報対象事実」にならないが、行為の当時は対象法律に基づく「通報対象事実」に該当していた場合(罰則規定が通報までに廃止された場合、罰則規定が通報までに他の法律に移行した場合)に、通報は本法で保護されるか。

A 保護の対象とならない。通報時において「通報対象事実」でない以上、通報者は保護されない。