依頼者ごとのやり甲斐の違い
依頼者が大企業の場合、お付き合いするのは主に法務部の方です。法務部の方は我々弁護士とはまた違った意味で法律のプロですので、法的な知識という面で教わることは多くあります。そういう方々が持ち込まれる案件というのは複雑で理論的にも難しい案件が多いわけです。
そうなると、こちらは、この難しい問題をどう料理してやろうか、という点にやり甲斐を覚えるというのが通常です。つまり、知的な作業が多いという点が特徴です。これはパズルを解く楽しみに少し似ています。
依頼者が中小企業ですと、お付き合いするのは主に経営者の方です。経営者の方というのは皆さんそれぞれ魅力的で、しかもこちらが頑張るとご自分の会社ですから本当に喜んでくださいます。
依頼者が個人のときは、もう本当に個人的なことを根掘り葉掘りお聞きすることになるわけで、苦しみを共有して、一緒になって解決に向かって走り続けることになります。金銭で済む問題でないことも多く、弁護士である前に一人の人間としてお付き合いをしていくことが求められます。完全に一体化してしまうことは職業倫理上問題がありますが、一定の思い入れを持って泥臭い作業をしている瞬間は、実はやり甲斐を非常に感じる時でもあります。事件解決時に依頼者の笑顔を見ることができたときは、どんな依頼者のどんな案件でも非常にうれしいですが、個人の依頼者からの案件では最もストレートに人格をかけてお付き合いをして来ているわけですから、心から「良かった」と実感できます。
どんな依頼者でも、私を信頼して相談されるのですから、その気持ちに誠実に応える姿勢は忘れないでいたいものです。