公益通報の外部ヘルプラインの運用Q&A(1)

Q 当社は外部ヘルプライン窓口として弁護士に委託しようと思っています。ついては、その弁護士が受けた通報については、通報者の氏名・所属等の情報を含めて当社として報告を求めたいと思っていますが、問題ありませんか。当社としては、通報者の氏名・所属がわからないと調査の過程で通報者を保護できないおそれがあると考えています。

A 大いに問題があります。通報者は、自分が通報者だと社内に知られるのは嫌だが弁護士なら秘密を守ってくれると信じたからこそ、社内の窓口でなく弁護士の窓口を選んだのかもしれません。それなのに、不用意に弁護士が会社に通報者の氏名等を垂れ流してしまうようでは、以後弁護士の窓口を信頼して通報する人がいなくなってしまいます。

そもそも、弁護士を外部窓口に据えることによって、「うちは外部窓口まで設けてますよ」というポーズを取りたいだけという企業が多いように見受けられます。しかし、外部窓口を設ける企業側の最大のメリットは、リスク情報を多元的なチャネルから吸い上げて、経営の質の向上に活かしていくということです。そのためには、最も通報が集まりやすくなるようにしくみを構築する必要があるわけです。

もっとも、通報者の保護をしたいと本気で考えている会社にとっては、確かに通報者の氏名・所属等が分かっている方が調査の過程でも通報者保護のためにより慎重な配慮をすることが可能です。したがって、外部窓口の弁護士とよく連携を図り、外部窓口の弁護士を通じて、氏名・所属等を会社に報告することについて通報者から明示的な承諾をとってもらったうえで、通報者の氏名・所属等の情報を入手するという運用にするのがよいでしょう。