公益通報の外部ヘルプラインの運用Q&A(3)
Q 内部通報窓口をオープンしてみたが、匿名の通報が多くて困っています。匿名の通報では、通報者にコンタクトして詳しい内容を補充的に質問することができないため、経営改善や不祥事のあぶり出しに使えないのです。どうやったらこの状況を打開できますか。
A 匿名の通報は、会社を信用できない以上はなくなりません。内部通報窓口が信用されるものになるよう、運用改善や広報活動に継続的に努める必要があります。
しかし、いくら努力をしても、内部窓口だけでは限界があり、そこに弁護士を配した外部ヘルプライン窓口を設置する意味があります。会社としては、外部ヘルプライン窓口への通報を奨励し、その場合の通報は実名を原則とすることをしっかり周知するべきでしょう。
その際、匿名を禁止するというのではないこと、実名というのは弁護士への実名であって、匿名希望であれば会社へは匿名性が守られつつ情報が伝達されることをしっかり強調して説明することが大事です。
匿名通報の弊害に対する特効薬はありません。そもそも、内部通報システムというのは、リスク管理のツールであり、全ての通報が役に立つ通報であるはずはありません。現在1000件に1件の有益な通報があるとしたら、それを1000件に2件、3件と有益な通報が増えるように、日々システムの改善を地道に試行錯誤の中で続けていくしか道はありません。