誰も書かない個人情報保護法の疑問点2

Q2 住所と氏名の組み合わせなら識別性があるのだろうが、住所と「○○家」の組み合わせだったら具体的な個人でないから識別性がない?一人暮らしだったら特定の個人として識別性あり?5000件はどうやって数える?

「特定の個人を識別することができる」ということが要件であるが、「○○家」だけであっても、3人家族ならその3人の個人、5人家族ならその5人の個人ということで特定されてしまうので、個人情報に該当すると解してよいと思われる。「特定の個人を識別」という文言は、必ずしも1人1人を完全に特定することを予定したものと解する必然はない。「○○家」という極めて限定された属性を持つ個人を家族単位まで特定したような場合は、「特定の個人を識別することができる」ものといえるし、そのように解することが個人情報保護法の趣旨に適う。なお、住所と「○○家」との組み合わせまで記載されていれば、「他の情報と容易に照合することができ」ると考えることが可能な場合もあろう。
ただし、「○○家」との記載からは、それが何名の個人を特定しているのかを知ることができない。そこで、これを何件の個人データと数えるべきかとの問題が生ずる。難しい問題だが、結局は実際の人数を事後的に客観的に数えて判断するしかないと思われる。事業者は、5000件を超えるかどうか微妙なときは、標準的な世帯の人数を基準に(3~5人程度か)多めに数えておき、適用除外にならない場合に備えるべきであろう。