離婚、浮気相手の子供、出生届

妻が浮気相手の子供を妊娠してしまって離婚した。しかし、離婚後300日以内に生まれた子供は元夫の子として戸籍に記載されてしまう、夫の子として戸籍に記載されないようにするにはどうすればよいか、という問題については、全国の行政書士がいろいろと回答をしているようです。

ある行政書士のサイトによれば…
「どうにか元夫の戸籍に入ることなく、事前に回避する方法がないかと相談をよく受けますが、
胎児のうちに(出生する前)に回避することはできません。
出生後の方法としては、元夫が地方裁判所に「嫡出子否認の訴え」を提起するか、母親が子供の代理人として家庭裁判所に「親子関係不存在確認の訴え」を提起するかのどちらかです。
以前は、元夫からの訴えしか認められていませんでしたので、一旦元夫の戸籍に入り、その後訴えが認められたら戸籍の変更をするという形でしたが、現在では、母親が子供の代理人として訴えることにより、審判中、出生届け提出期限を延ばせるようになっているようです。
ただし、DNA鑑定などが必要になりますので、審判に2,3ヶ月かかることもあります。その間保険や1ヶ月検診などが受けられないという問題点がでています。」とありました。

しかし、
まず、正しくは「嫡出否認の訴え」も「親子関係不存在確認の訴え」も家庭裁判所でやるのですが、調停前置主義なので、手続としては、「嫡出否認の調停申立て」「親子関係不存在確認の調停申立て」というのを行います。その後、家裁では、「合意に相当する審判」というのをしてくれます。
家裁の調停というのは非常に安く、2000円程度です。

裁判所にちゃんと問い合わせたら、以下のことが分かりました。
1.裁判所にはこういう事案専用の、「親子関係不存在確認調停申立書」のフォームがある。
2.子の出生前でも、出産が近いのなら、家裁での申立ては受理されることがある。

そこで、私は出生届は速やかに出したいと考える母親(妊婦)には、以下のステップで進めることを推奨します。
<ステップ1>
出産前でも、もと夫の戸籍謄本と自分(妻)の戸籍謄本を添えて、家庭裁判所に親子関係不存在確認の調停申立てをしてください。
「親子関係不存在確認の調停申立書のフォームを下さい。出生届未了のフォームです。」と言えば専用フォームをくれます。
申立人を妻、相手方を夫として、フォームを埋めて下さい。最後の「特記事項」のところに、「出生届未了期間を可能な限り短縮するため、子の出生前ではありますが本日申し立てます。○月○日に出産予定なので、第1回調停期日を○月上旬としていただきたく上申します。出生証明書とDNA鑑定は調停期日に持参いたします。」と書いて提出します。さらに、元夫の上申書として、「私と( 元妻の氏名 )とは当時性交渉がなかったため、私の子であることはあり得ません。速やかに審判をお願いします。」と書いて署名捺印してもらったものを念のために合わせて提出します。
申立て手数料は2000円(印紙1200円+切手800円)です。DNA鑑定は、例えば、この業者なら29000円のようです。http://www.genetrackjapan.com/price.php
時間短縮のため、出産前にDNA鑑定の申込をしておいてください。サンプル採取キットが届きます。

<ステップ2>
出産後、直ちにDNA鑑定のサンプルを採取します。
DNA鑑定は、父子関係を否定するのが目的なので、夫、妻、子のサンプルを採取することになります。
鑑定結果が届いたら、病院でもらった出生証明書と一緒に裁判所に持っていきます。そうすれば、裁判所が親子関係不存在の審判書をくれますので、それと病院からもらった出生証明書を持って役所に出生届を出しに行きます。
もし、調停期日に鑑定結果の到着が間に合わなかった場合でも、裁判所でそのことを説明して、近日中に提出するといえば、追加提出した際に審判書をくれるはずです。

<ステップ3>~再婚
役所に出生届を出す際に、同時に浮気相手の認知届と、婚姻届を出します。(子供が生まれた場合は、6か月待つ必要はなくなります)
もちろん、認知届と婚姻届は後日でもかまいません。特に収入のことを考えると、婚姻届は出さずに、母子家庭として自治体の補助金を受けるほうが生活が安定することがあります。

なお、血液型によって、父子関係が完全に否定できる場合は、DNA鑑定が不要となることがあります。その場合は血液型を証明できるものを裁判所に提出すれば足ります。

前の記事

クレサラ重要判例

次の記事

元金も返してもらおう